妊娠中は「元気に生まれてきてね」と、それだけを祈っていたママも、子どもが生まれると「母乳やミルクをたくさん飲んで」「食事は目安量を好き嫌いなく」「今の時期にできるはずのことはしっかりできていなければ」と次々と望んでしまいがちです。

 育児書どおりに育て、周囲の子と足並みを揃えてできるようになることが、親に課せられた責任のように感じられ、子の出来不出来が自分の評価のように思われるのかもしれません。

 だからこそ、ミルクを飲まなかったり、さまざまな工夫をこらしても食べなかったり、発達がゆっくりだったりすると、「こんなはずじゃなかった・・」「私のかかわり方が悪かったのかな?」と、思うようにいかないわが子の姿にママが落ち込んだり、不安になったり。

 保育園や幼稚園など集団生活に入ってからも、「やりたい!」と言われた習い事に通わせたり、「可能性を伸ばしてあげたい」との思いで塾に通わせても、行くのを渋ったり、辞めたがったりと、いつの時も思い描いたとおりには行かないものですね。

 でも、親の期待通りの人生を歩んでくれる子は、そうそういるものではないはずです。なぜなら、子どもも一人の人間として自分の意思を持っているからです。何に興味や関心を持つか、最終的にどんな選択をするかは、子ども自身の問題です。わが子である前に幼いながらもプライドを持った一人の人間であることを忘れずにいましょう。大人になったあなた自身も他人にコントロールされるのは嫌ですよね。子どもも同じです。
 
 お子さまが泣き止まずに困ったときは「そうなの~、今日は泣きたい気分なんだね」「泣き顔もかわいいよ」と言ってみる。思ったように食べないときは「いつかこのおいしさがわかるようになるといいね」と笑ってやり過ごす。思うようにできないと焦るより「あなたのペースでね」と見守ってみましょう。子どもの持つ力を信じて少しだけ待てるようになると、今より気持ちが楽になりそうですね。