エンゼル110番の相談の中で一番多いのが食生活の相談です。「飲むこと」「食べること」は赤ちゃんが生まれてから、日々休むことなく続いていく大切なこと。「食」を通して赤ちゃんを育てることを実感していくママも多いでしょう。
 それだけに、食べさせようとつい力が入ってしまうこともあるようです。離乳食の相談では「うちの子食べなくて…」と悩んでいるママがとても多くいます。

ママたちの声はさまざまです。
・離乳食の本に書いてある量を食べない(おかゆ○g、野菜○gと用意するけど…)
・他の子に比べて食べない(まわりはみんなよく食べる子ばかり!)
・1歳を過ぎたのに食べる量が増えない(こんなによく動き回るのに、最近体重が増えていかない)
・おかずをぜんぜん食べない(栄養のバランスが心配)
・3食きちんと食べない(ちゃんと栄養が摂れない。成長への影響が心配)
・白いご飯、果物、納豆など同じものしか食べない(何でも食べる子にしたい)
・自分から食べようとしない(食べる意欲がない。興味がないみたい)

「もっと食べさせる方法はないか?」「どうしたら他の子のようにちゃんと食べるようになるの?」とママの声は切実です。月齢によってもいろいろですが、そんなママたちに伝えたいフレーズをいくつか集めてみました。
<具体策>
・離乳初期の赤ちゃんはスプーンの材質を替えてみましょう。(金属製を嫌がるときはゴム製、プラスチック製に。それでも嫌がるときは、ママの指でもOKです)
・少食の子には、ごくごく少量の盛りつけで。全部食べたら足してみるとよいでしょう。
・母乳に含まれるグルタミン酸は赤ちゃんになじみのある味。最初はグルタミン酸の含まれる昆布だし、野菜スープを調理に使うとよいです。
・手づかみはどんどんさせましょう。(ゆでマカロニ、薄切りのりんご、レンジで柔らかくしたかぼちゃなど)
・朝の起床時やお昼寝後、起きてから30分~1時間はあけて食べさせましょう。
・トロミを利用すると、のどごしがよくなります。また、肉はひき肉よりもしゃぶしゃぶ用のごく薄切りのものを。繊維に沿って切れ目を入れて片栗粉をまぶしてゆでるなどしてみましょう。
・少し大きい子には簡単なお手伝いをさせましょう。洗ったり、手でむいたり、軽いものを運んだり、プランターなどで一緒に野菜を育てるのもよいですね。

<考え方>
・離乳食は食べる練習をする時期です。たくさん食べなくても大丈夫。
・食べる量は長めのスパンで見ていきましょう。毎食、毎日きちんと食べなくても大丈夫。たとえば3日に1回、1週間に1回、たまに普段よりもよく食べる日があるものです。そうやって長めのスパンで子どもなりにバランスをとっています。
・「食べさせたい」と意気込んでしまうママは、離乳食の時間、赤ちゃんと向かい合うよりも、隣に座りましょう。お互いにリラックスできます。
・同じものばかり気に入って食べる時期があります。それでも大丈夫。それに飽きれば次は違うものを食べるようになります。
・1歳代は「人生で一番食べない時期」といわれています。好奇心旺盛で、自己主張もますます強くなります。落ち着いて食べないし、嫌なときは嫌とはっきりしてきます。実際に、エンゼル110番でもこの時期の食べない相談が一番多いんですよ。
・偏食は自己主張のあらわれです。心の成長ともいえますね。

 私たちがママに伝えるフレーズは他にもたくさんありますが、大切なことは「食べるのは赤ちゃん」ということです。ママがどんなにがんばって食べさせようとしても、赤ちゃん自身がなかなか食べようとしない時期はあるものです。ママのやり方がよくないから、料理がへただから…が原因ではないのです。もしママが赤ちゃんに食べさせることでいっぱいいっぱいになっていたり、赤ちゃんのために工夫してばかりだったら、ご自分の食生活をちょっと振り返ってみましょう。そしてママが一番食べたいものを食卓に並べてみましょう。肩の力を抜いて、まずママ自身が食べる楽しみを感じてほしいものです。